性の人類学
授業概要
わたしたちすべてがもつ深いセックスの悩み。
それは、いまから14億年前に、
生物進化の過程で<性>が誕生したときから、すでに、ひそんでいた。
この授業では、人類学の観点から、とりわけ、性行動に焦点をあてる。
第一に、人間へといたる長い進化の道筋において、
どのような性行動がおこなわれてきたのかを概観する。
第二に、文化人類学のこれまでの蓄積をふまえて、
人類社会のセックスの文化の多様性に照準をあてる。
さらに、第三に、現代のわれわれの社会のセックスをめぐる諸問題について考えてみる。
文化人類学を履修していること、あるいは、
その基礎知識を持っていることを、登録の条件とする。
授業計画
1.性の人類学入門
◆第一部 性の進化史
2.性の起源〜14億年前の性の誕生について〜
3.生き物の多様な性@〜単為生殖、雌雄同体〜
4.生き物の多様な性A〜移動精巣器、スニーカー戦略〜
5.生き物の多様な性B〜精巣の大きさとセックスの関係について
6.霊長類の性(1)〜発情と交尾のメカニズム〜
7.霊長類の性(2)〜ハヌマンラングールにみる子殺しの行動学〜
8.霊長類の性(3)〜GGラビング、尻つけ、セックスで社会調節をするボノボ〜
9.ヒトはなぜパンツをはくのか?〜人間の根源的な精神性との関わりにおいて〜
◆第二部 性の文化人類学
10.性の人類学研究史の概略〜比較文化考察から民族誌へ
11.性肯定社会と性否定社会@
12.性肯定社会と性否定社会A
13.ヴェネズエラ・バリ社会では、妊娠発覚後、
女は「胎教」のために複数の男とセックスする
14.トロブリアンド諸島では、セックスは霊児の通路をつくるためであり、
精液は受胎とは関係ない、その1
15.承前、その2
16.中間まとめ
17.カラハリ砂漠のブッシュマンの夫婦交換(ザーク)において、
誘惑のシナリオが完成される、その1
18.承前、その2.
19.ケニア・ルオ社会では、生殖でも欲望でもなく、
災いが降りかからないために特別な性交が行われる
20.ケニア・グシイ社会では、女がズボンを履けば、エロティックである
21.それは、女性器の切除(FGM)か、女子割礼か?、その1
22.承前、その2
23.ミクロネシアの母系社会は、性の楽園か?
24.ニューギニアの儀礼的同性愛者は、精液を飲み、食べて、男になる、その1
25.承前、その2
26.インドネシア・ブギス社会のチャラバイは、
女の心をもつ男である
27.マレーシア・プナンのペニス・ピンは、
苦痛を快楽に転じる性の道具である、その1
28.承前、その2
第三部 現代の性
29.国家に管理される性〜フーコーを手がかりとして
30.期末まとめ
授業プリント格納庫